「藍佳は帰りな」


「うん、そうする」


「…藍佳」


「じゃぁね」


呼び止める声を無視してあたしは部屋を出た。


外で待っていた篠さんに一礼してエレベーターのボタンを押した。


「奥様は下でお待ちです」


「ありがとうございます」


「あの、そこまでお怒りにならないでください」


「別に怒ってません」


「あの…」


「もういいですから。」