「……え…」




橋村の声で




ハッと我に帰った




違う




今あたしの目の前にいるのは
淳じゃないのに…




橋村なのに…




「っ!!ごめん!!今日はもう帰る!」




あたしは急いで教室を出た




涙が出ないように




走って




走って帰った




 バタン!!




勢いよく部屋のドアを閉めると




同時に頬を流れるものがあった




……なんで…なんで…




なんでまた思い出すの…




全部忘れたのに…




忘れたはずなのに…




あたしはそのまま




声を殺してずっと泣いた




込み上げてくるものを




すべて流すように…