「…なんもないよ…」




「嘘だろ」




橋村の作業する手が止まった




「なんもねぇなんて、嘘だろ」




橋村はまっすぐあたしを見てくる




やめて…




「ほんとになんもないって…」




今は…目を合わせられない…




「じゃあ目そらすなよ!」




そう言って、橋村は




あたしの顔を上げさせた




目の前には橋村の顔…




だめだ…なにもかも思い出してしまう…




「………淳…」