早く落ち着かなくてはと思っていると、突然、結華が訳の分からない事を言った。

「…美輝、夏樹、カーテンを閉めてくれる?」
「えっうっうんっ」
「?了解っ」
《私も手伝うわっ》

いきなり部屋を暗くさせる意味が分からないけれど、涙を拭きながら徐々に暗くなっていく様を大人しく見守る事にした。

「できましたっ」
「暗いなぁ」
「だが、遮光が効いてはいるが、まだ光はあるな」

薄暗い部屋で、全員、元の場所に座ると、結華を見た。

「美輝、見たいって言ってたよね。
色の光」
「え?っあっうんッ」
「煉、”夜”の結界を」
「ふん、良いぞ」

御影さんが何か紙を取り出し念じると、一気に何も見えなくなった。

「「「「っ……」」」」

すると、一つ、二つと、淡い光の玉が部屋に広がっていった。

「っきれ〜ぇ…」

ふわりふわりと赤や青、緑、黄色、様々な色の仄かな光玉が電球のように部屋を照らす。

綺麗…。
これは、魔法…?
結華がやってるの?

そう思っている間にも、美輝は無邪気にはしゃいでいる。

「カワイイっ触ってもいい?」
「良いよ」
「わぁいっ」

幻想的な光の中、ふと見れば、結華がこちらを向いていた。
二つの写真を持って…。

「これはもう、持っているべきじゃない。
いいよね」
「ええ……」

そう言って、目を一度閉じた結華がゆっくりと目を開けると、写真が白い光に包まれた。

「っ……」

その手を離すと、宙に浮いたまま、ゆっくりと白い光が跡形もなく消していく。

「これは、浄化の焔。
術式も全てを絶ちきる。
そして……術者を手繰り寄せる」

いきなり声の雰囲気が変わったと思ったら、部屋の隅から女性の声が聞こえてきた。

「手荒なご招待ね。
久しぶり、結華ちゃん。
それと、優しい正義の少年?」
「っあの時のっ」

夏樹くんが驚いて立ち上がり、指をさす。
同時に私は、口を手で覆い、驚愕していた。

「っ…あなた…っ」

そこに現れた女性は、あの会の幹部だった。

「まさか、結華ちゃんが魔術師だったとはね……それに、お身内に私が創った会のメンバーがいたとは…」
「っ……」

恐い…。
何だか…すごくザワザワと不安な感じがする…。

「ふふっ、まだ私の術の影響下にあるみたい。
うかつだったわね」

不敵に笑う女性に臆する事なく、結華がようやくソファーから立ち上がり、女性の方へと振り向いた。

「そうでもない。
むしろ、その油断は命取りになるんじゃない?」
「っ何っ…っぁぅっ…っ何でっ!?」

いきなり苦しみだした女性は、信じられないものを見るように、結華を見ている。

「警戒していたんじゃないの?
私を…」