「俺と同じ年の貴族の子供は遊んでるのに俺は勉強するしかなくて。けど親父が視察中に事故死して六歳で俺は王位についた。その時は同い年のヤツの誰よりも偉くなれたことが嬉しかったな」

 ガブリエルが一瞬オラシオンを見た。

 彼女はまたすぐにオラシオンに背中を向ける。

「…六歳で王様になったんですね…」

 小さな声が鼓膜を震わせた。

「あの時は大変だった…。でもそんな時だった。俺は神の力を封印した剣に出会ったんだ」

 ガブリエルがくるっと振り向いた。

「神の力?」

 オラシオンはガブリエルの喰らいつきように驚いたが、すぐに話を再開した。

「そうだ。神みたいに人を支配する力。そんな力の封印された剣を使うと、仕事が捗って行った」

 オラシオンはフィオーレの言葉を思い出した。

――ガブリエルに剣の話をするのは構いませんが、彼女の正体だけは明かさないでください。彼女に、自分の力で知ってほしいから…。