後宮の寝所にガブリエルを連れ込んだオラシオンはガブリエルにベッドへ入るよう促した。

 だが、ガブリエルは怯えているのか動かない。

「安心しろ。俺は女に優しいと評判だから。特に寝所ではな」

 オラシオンは肩に引っ掛けた黒いマントを床に放った。

「ほら、来いよ」

 オラシオンは両手を広げた。

 それでも動かないガブリエルに苛立ちを覚えたオラシオンはガブリエルを少し強引に連れ込んだ。

 キスをしようと顔を寄せると、ガブリエルは枕でどうにか阻止してくる。

「怯える顔も可愛いぞ」

 枕を顔からどけて囁くとガブリエルが顔をひきつらせた。

「痛くないから安心しろ」

 オラシオンがもう一度キスに挑戦すると、今度は胸を押された。

「したくない!!」