「もちろんだ」
オラシオンは答えてから、言いかけた言葉をどうにか呑みこんだ。
俺が唯一道具として寝なかった相手だなんて、口が裂けても言えないし、何よりフィオーレが村に戻ってから彼女にそのことを言ってしまえばどうなるかわからない。
情けないな、とオラシオンは思った。
王であり男である自分が、か弱い女に弱みを握られているのが情けないのだ。
「それで、アイリーンにその話を聞いて、オマエはどうしたいのだ?」
オラシオンは気を取り直して聞いた。
「私の妹ガブリエルは、神になる資格がある者として、覚醒しました」
フィオーレが言ったが、オラシオンは驚かなかった。
「そうか」
別に大したことではなかった。