「待ってください、王様!」

 オラシオンはルークでもガブリエルでもない声に後ろを向いた。

 銀青の髪を束ねた背の高い男が頭を下げているのが視界に入る。

「なんだ?俺は忙しいんだが」

「私は、フィオーレと申します。王様にお話があって参りました」

 男フィオーレが名乗る。

「話?それは今しなくてはならない大事な話なのか?」

 オラシオンが聞くと、フィオーレは

「私にとっては一刻を争う話なのです」

 と告げた。

 頭を下げているせいで顔は見えないが、声色からしてもだいぶ急いでいるのがわかる。

「手短に済ませろ」

 オラシオンはフィオーレに話をするよう促した。