フィオーレはハッとして息を呑んだ。

「そんな!」

「この子は、覚醒した。もう今までのままじゃいられないわ」

 アイリーンがガブリエルの頭を撫でた。

「それにさ、この前ガブリエル倒れただろ?」

 デルモンテがアイリーンの説明を補足する形で言った。

「あぁ」

「あれは、覚醒の予兆だったんだ」

 フィオーレはガブリエルを見た。また眠ってしまった妹の頬を撫でながら、フィオーレは涙をこぼした。

「でも、これで良かったんじゃないかしら。だって、まだ未成年のこの子には、あんな出来事…記憶にない方がましだわ」

 アイリーンが言う。

 フィオーレは涙を拭った。

「それでも、傍にいたいなら」アイリーンがフィオーレの頭を撫でる。「この子と同等の力を得なくてはならないわ」