ガブリエルはなかなか目を覚まさない。

「刻印が、変色したの?」

 アイリーンが震える声でフィオーレに尋ねた。

「あぁ、俺は確かに見た」

 アイリーンの弟デルモンテが息を呑んだ。

「じゃあ、ガブリエルは――」

「どうした?」

 フィオーレが聞き返し、デルモンテが口を開いた時だった。

 ガブリエルが目を覚ました。

 襲撃が終わってから三時間と五十分が経過していた。

 フィオーレはガブリエルを抱きしめた。

「よかった」

「…――誰?」