顔色を変えたルークが部屋に駆け込んできたのは、オラシオンが視察の支度を終えた頃だった。

「大変です王様!」

 ルークの言葉に、オラシオンは不機嫌になった。

 人が支度を終えたころになんだというのだろう?

「どうした」

「ホッカ村が襲撃されたとの情報が!」

 サーッ

 オラシオンは自分の顔から血の気が引く音を確かに聞いた。

「ホッカ村が…襲撃?」

「はい。おそらく、王様が視察に行くという情報を得た反逆軍の仕業でしょう」

 オラシオンが王に即位する前から、反逆軍は存在していた。

 この王国にも世界と同じように光と闇がある。

 繁栄している面を光とするなら反逆軍は王国の闇と言えるだろう。