左上腕部に施された梵字のア字によく似た刻印が赤い色に変化していた。さっきまでは絶対に黒い刻印だったはずなのだ。
おまけに刻印は赤みを増していく。それに伴って、刻印は熱を帯びていくのだった。
もはやその熱さは釜で湧かした湯と同じくらいだった。
ガブリエルは目を開けた。
視界がぼやけている。
耳は確かに村人たちの悲鳴を聞きとっているはずなのに。
ぼやけた視界には確かに敵の姿を映しているのに。
頭の中では、命の危険を感じているのに。
それでもガブリエルは動かなかった。否、動けなかったのだ。
体は段々重くなっていく。
思考回路が断たれた。
命が危ない中、ガブリエルは意識を手放した。