「ん?ホッカ村に何かあるのか?」

 オラシオンはルークを見つめた。

 長い前髪のせいで、目が見えないから彼がどんな表情なのかが読み取れない。

「…覚えていないのなら構いません」

 ルークはそう言って地図を閉じる。オラシオンはそんなルークを訝しげに見上げた。

「ところで」ルークが言った。「視察はいつ行うのでしょう?」

 決めてなかったな、とオラシオンは思った。

「そうだな…」

「お決めになっていなかったんですか?」

 ルークの図星をついた質問にオラシオンは言葉に詰まった。

「…うぅ」

「明日でどうでしょう?」