「ねぇお父様?」

 娘のミィナの言葉に、フィオーレは足を止めた。

「なんだ?」

 ミィナが手を伸ばし、王宮の傍の太い樹を指さす。

「あの二本の木は、なんであんな風に寄り添っているの?」

 それは、オラシオン前国王とガブリエルの墓の傍に生えている、絡み合った二本の木だった。

 愛し合っていた二人のように寄り添っていることから、夫婦樹と呼ばれている樹だ。

「まるで前国王と前王妃のように寄り添っているからだよ」

 フィオーレはそう説明した。

「…へぇ…。ねぇ、その王様と王妃様はどうなってしまったの?」