脳裏には、三日前のことが焼き付いて離れなかった。
もし、オラシオンが打ち首にでもなったら…?
そう思うだけで生きた心地がしなかった。
王宮を外に出て、少し歩いたところに牢がある。
大雨で薄暗い牢獄の壁には松明が設置されていた。
「…オラシオンに会いたい」
ガブリエルは牢の見張りをしていた男に頼んだ。
男が歩き出す。鍵のこすれる金属音が狭い廊下に、やけに大きく響いた。
一番奥の牢屋の前で男が止まった。
鍵の一つを鍵穴に差し込んだ。
「面会は早めに済ませてください」
男は言い残して去っていく。
牢屋の中には、変わり果てたオラシオンがいた。この国の拷問は酷いと聞いたことはあったが、被告人が王であろうとやり方は酷いようだった。