「王様!!」

 オラシオンの部屋の前から聞こえた悲鳴に、ガブリエルはいてもたってもいられなくなった。

 オラシオンの部屋の前まで走って行くと、部屋の扉の前にアリシアが立っていた。

「アリシア!」

 ガブリエルの言葉に、アリシアが振り向く。

「王妃様!!」

「何があったの!?」

 アリシアに駆け寄ると、彼女はゆっくりと部屋を指さした。ガブリエルはゆっくりと部屋に顔を向ける。

 そこには、信じられない光景が広がっていた。

 部屋の隅に追いつめられたオラシオンと、彼の額に剣を向けているルーク。

 何があったのあろう?

 ガブリエルは拳をギュッと握りしめた。

「覚悟は決めたかって聞いてるんだ!!」

 ルークが吼えた。

「覚悟…だと?」

「王妃を手放す覚悟だよっ!!」