「…アリシアだよ」

 ルークがゆっくりと言った。

「アイツが、オマエの共犯者だと?」

「そうさ。王妃の世話役になるのも、オマエを好きになるよう命令したのも、この俺だ」

 今までの生活の大半がルークの思惑だった。

 それを知った今、オラシオンの心の中には絶望ばかりが残っていた。

「まぁ、アリシアはオマエのことを本気で好きだったようだがな」

 ルークが「くくく…」と笑う。

「全て俺の計算通りになった。王妃が奴隷として売られたことも、それを俺が買い取って王様に差し出したことも、それで二人が結ばれたことも」

「…っ!だからオマエ、言ったのか。ガブリエルと初めて会った日に、絶対気に入るだろうって」

「そうさ…」

 ルークが立ち上がる。しっかりと剣を握りしめ、ルークはゆっくりとオラシオンに歩み寄ってきた。

「アンタに、一つだけ聞く。王妃を手放す決心はついたか?」