ローグはそう言って、分厚い本をオラシオンに差し出す。

 重い本を膝に乗せ、オラシオンは開かれたページを食い入るように見つめた。

「……あったか?」

 開かれたページには、アリシアの刻印、フリーゼルの刻印が乗っている。

「右のページの刻印は、死去した刻印の持ち主だ。雷の神、光の神、影の神、音の神…。この神たちが蘇るのは数百年は後だろうな」

 ローグが簡潔に説明した。

 刻印の形から何の神の刻印かわかるというのは、この店に来て三回目の時に聞いたような気がするなとオラシオンは思った。

「…その中にないのか?」

 ローグに聞かれ、オラシオンは何気なく次のページをめくった。

「あぁ、これだ」

 次のページにあった刻印を指さした途端、ローグの顔色がはっきりと変わった。

「…な、何……!?」

 オラシオンは訝しげにローグを見た。

「何か知っているのか?」