オラシオンは乗り出していた体を元の位置に戻した。

「…あぁ…そうだったな」

「まぁいい。せっかくの機会だ。話してやろう」

 ローグはそう言って本を膝から下ろすと咳払いをした。

「本来、覚醒は二度しか行われない。ただし、極稀に二度以上、覚醒をする刻印がある」

 それが警告だ、とローグが付け足した。

 オラシオンは息を呑む。

「それが、ガブリエルの刻印だな…」

「その覚醒する刻印が何かを教える前に、一つ聞きたいことがある」

 ローグの言葉に、オラシオンは小さく頷く。

「なんだ?」

「王妃の刻印は、どんな形をしている?」

 ローグの問いに、オラシオンは拍子抜けた。

「そんなことか」

「そんなこと、ではない。刻印の形は極めて重要だ」