太い眉毛に隠されていたローグの小さな目が見開かれた。

「二度以上覚醒した刻印がどうなるか…だと?」

 オラシオンは頷いた。

 ローグは「おかしいな」と言いたげに豊かに蓄えられた白いひげをなでる。

「あぁ、そうか」

 ローグの呟きに、オラシオンは身を乗り出した。

「何か知っているのか!?」

 ローグが不快そうに顔をしかめる。

「前に教えようとしたときがあった。覚醒が何度起こるのか小僧、オマエが聞きに来たときにな」

 身を乗り出したまま、オラシオンは固まった。

 その話には聞き覚えがある。

 あの時、ローグは「一つ警告をしておく」と呟いていたような気がする。

「…あの時、オマエは話を最後まで聞かず、この店を飛び出して行った。図星だろう?」