その言葉は、正しいようで正しくない。
確かにオラシオンは最後の刻印の持ち主を捜してはいる。
だが、今はそんなことを聞きたいわけではない。
「それもあるんだが…」
「安心せい。その者は直に見つかるわ」
面白くなさそうに言い、ローグは本をめくっていく。
自分が刻印を持っていないことが面白くないのだろうなとオラシオンは思った。
「俺が今日、ここに来たのは他の理由があってのことだ」
オラシオンはそう言って座り直した。
「他の理由…とな?興味深い。話してくれ」
ローグが本をめくる手を止める。
オラシオンは何から話せばいいかを考えつつ口を開いた。
「刻印の覚醒は二度で終わるとローグ…アンタはそう言ったな」
「言ったとも」
オラシオンの言葉に、小さな老人は頷く。
「なら説明してくれ。二度以上覚醒をした刻印はどうなるのかを」