顔を上げると、王妃の世話係のアリシアと目が合う。
アリシアが会釈したのを見て、ルークも会釈した。
踊り子たちが踊りを終え、宴は終盤に差し掛かっている。
もう、ルークが重臣を代表してガブリエルを王妃であると承認してから二時間は経っていた。
「全ては計画通りだ」
ルークは呟いて、フリーゼル伯爵を見る。
ルークの席の向かい側に座る伯爵は、テーブルに置かれた肉料理を口に入れながらもこちらを見つめたまま動かない。
警戒でもしているのだろうか。
ルークは面白おかしくて小さく笑った。
「アンタには興味なんかないんだよ…」
呟き、自分の右足を見下ろす。
右手を翳すと、右足の太腿に緑色の波紋が広がって行った。
「くくく…」