―――剣は神高山(シンコウザン)に眠っている。どの剣に出会えるか、どこで出会えるか、そもそも出会えるかはわからないが、話によれば剣は神高山のどこかに封印されているそうだ。
歩いている途中、王の言葉が蘇った。
――神高山?どこにあるんですか?
――俺も名前しか知らない。だが、ムロヤとガトヤの境目にあるらしい。ただ、そこに行った者はいても戻ってきた者がいたかどうか…。それでもオマエは行くのか?
フィオーレは近くにあった高い木をよじ登った。
――はい。俺は、何があっても妹の傍にいたいんです。
高い位置から国を見下ろすのはなんだか不思議な気分だった。
今いるのはムロヤとガトヤの境目の川のほとりにある森だった。
――それでも、この子の傍にいたいなら同等の力を得なければいけないわ…。
アイリーンの言葉が脳裏に浮かぶ。
「俺は死ぬ覚悟だ…アイリーン…。ガブリエルの傍にいるためなら、死ぬことだって覚悟してるさ…」