――ドクン…
――ドクン…
激しく動き回る 綾の心臓――
留まることをしらないかのようだ…
「…何してんだ?」
『いや…、弟さんに……自転車で家に…送ってもらうところなんです…』
明らかに挙動不審なのがばれてしまう
それに 新一の目を見る事ができなかった――
私は 振られたんだ――
私は 振られたんだ――
ワ タ シ ハ フ ラ レ タ ン ダ
その言葉は 彼女の胸の中で 何度も何度もエコーしている
『はは…』
綾は 気を紛らわすかのように 髪を掻き分けた
「綾…」
新一は だんだん綾に近づいてくる
1歩……――また1歩と……――
彼が目の前に来たとき 綾は思いっきり目を瞑ってしまった――
「何で目を合わせてくれないの…?」
新一の寂しそうな声が 綾の耳に入って行く
合わせたくないはずなのに ゆっくり目線を 彼の顔の方に向けてしまう
――嫌だ…
すると… 急に視界が真っ暗になった――
「こいつに、何してんだよ――」