灼熱の日差しが 建物や人の体をジリジリと焼いてゆく
今にも溶けだしそうだった
綾の地元では有名な待ち合わせスポットの時計台
そこにチョコンと座って友人の千紗(ちさ)を待つ彼女の姿があった
『ちぃちゃん…、遅いなー』
時計の針は 約束の時間から10分を過ぎようとしていた
あまりの暑さのため 綾はいったん 時計台の影があるところに逃げ込んだ
まるで別世界のような温度差
体だけではなく 気持ちまで楽になったようだ
しかし 真夏の太陽の下で待っていた綾の体は 少々汗が滲んでいた
『やば…、汗かいちゃった…』
服に匂いがつく前に 綾はボストンバックからデオドラントスプレーを取り出した
脇の下や胸元がサラサラになるまで じっくりつける
ひんやりしていて とても気持ちがいい
それに ほのかな石鹸の香りが 綾の気持ちを落ち着かせた
すると…――
「綾!ごめん、遅れた!!!」
左に首を向ければ ひざを抱え 息を切らしている千紗の姿が――
――――シュー…
「…?」
綾は 千紗に向けて デオドラントスプレーをかけてあげた
『これからは遅刻しないでよ?』
そう言葉をかけて 2人は遊びに行った