綾の胸が 音を立てて動いている…
拓斗の体を見たからか――
それとも 拓斗の優しさでか――
自分でもわからない…
頬を桃色に染めて 拓斗のことを考えていたときだった
「おい、綾!」
上半身裸の拓斗が 屋上に戻ってきた
『ふぁい!?』
彼のことを考えていたから 返事の声も裏返ってしまった
それを見た拓斗は「バーカ」と言って微笑む――
――…ドキン…
さらに綾の胸は 熱くなっていった…
「…嫌なことがあったら…、1人で抱えるなよ。……あ゛―、じゃーな!!!」
ユデダコのように真っ赤になりながら 拓斗は屋上を飛び出した
綾は 呆気に取られていたけれど…――
『…嬉しいことばっかり言うんだから……』
拓斗のことを考えて 嬉しくなった…――