「白血病ですね」
医師が伝える言葉には 耳覚えがあった
幼いころにも1度経験していたんだ
だからか そこまで驚きはしなかったけど やっぱり不安だ
隣で母親が 死んだような瞳をしているのがわかった
「それに、発見が遅かったので…助かる見込みが…」
――ドクン…
言葉を失った
まさかと思ったが…――
「生きて1年…。無理をしたらさら短く…」
目の前に映るものは“死”しかないなんて――
『そ…そんなぁ…』
急に目の周りが熱くなって そして…――
病院の床が 綾の雫で汚されてゆく
『死ぬなんて…嫌だよぉ…!!!』
ポタリ…――ポタリと…――
溢れ出す涙
胸が張り裂けそうだよ
助けて たすけて タスケテ
タ ス ケ テ
そのとき ある人の顔がポッと頭浮かんだ
それは…――
『新一…先輩…』
私がいなくなったら…――
彼はどうなるの…?