☆
翌日…――
綾はある人物を探した――
“麻生 拓斗”
新一の弟で 綾の同級生…
その彼が 綾と新一を再び結んでくれたんだ
――お礼がしたい…
綾は 辺りをキョロキョロと見渡した
すると 千紗が綾に話かけてきた
「誰か探してるの?」
『あ、麻生くん…』
すると 千紗の目がカッと開いた
そして 少しの沈黙のあと 彼女は綾に問う…
「麻生って、このクラスの麻生だよね…?」
綾は 縦に首を振った
そして 千紗は綾の席のほうを指差し――
「あんたの後ろの席じゃん。麻生って…」
――え?
綾は恐る恐る 自分の席のほうに首を動かした
背筋が凍るかと思った
まさか数日前に 自分のことをけなした人が 新一の弟だとは――
『ま…、まじ…?』
自分の視界にいる あの柄の悪そうな人が 新一先輩の弟…――