『お待たせしました』



まだ少し目の周りが赤い綾

もしかしたら バレているのかもしれない


けど 気にしないで席に座った



「なぁ…」
『あれ?そう言えば今日、なんで校門のところにいたんですか?教えていませんよね、学校…?』



新一は何かいいたかったようだけど 綾は違う話題を持ち出した


「あぁ、弟」

『へ?』


コーヒーをすする新一が 口にした言葉が やけに気になった



「綾のクラスにいるはずだよ。“麻生 拓斗”って言うが」

『あそー…たくと?』



思い当たるふしがなかった

聞き覚えがある名前だけど 顔と名前が一致しない


「一応、タクと綾は同じ中学だったぞ。1度も同じクラスじゃなかったけどな」

『ぇ!?そうなんですか!!!』

「あぁ。あいつはお前のこと、知ってるみたいだぞ」

『そ…そーなんだ…』





新一の弟のことを考えていると 新一が優しい笑顔を見せてくれた


そして…――






「じゃー、帰るか」

『――え…』



まだ日は沈んでいない


夕暮れともいえない時間帯なのに 新一は 店を出ようとしている




『私、まだ平気ですよ!』

「そんな、女子高生と遅くまでいられないよ」

『そーですか…』




少し 残念そうにする綾





すると新一は 左ポケットから携帯を取り出して 自分のプロフィール画面を見せてきた



















「いつでもメールして。待ってるから」