『――…っ…うぅ…っ……』
化粧室に逃げ込んだ瞬間 溢れ出てしまった
ハンカチで涙を拭いても 次々に出てきてきりがない
『…もぅ…なんなの…?』
今日は久しぶりに新一とじっくり話せるのに 涙なんか流している暇ないのに――
鏡に映る自分
微かに目の周りが赤く染まっている
水道の蛇口をひねる
涙を拭くのに使ったハンカチを 流れ出る水につけ それを目の周りに覆いかぶせた
閉ざされる視界――
閉ざされる思い――
全く違うものなのに 妙に重ねてしまう
最近 なにもかもに新一を重ねてしまう
そのたびに涙を瞳いっぱいにためるんだ――
情けない
悔しい
そんなのが 自分だと思うだけで歯がゆい
けど…――
『もう、大丈夫…かな?』
それでも新一のことが 好きなんだ――