『――……先輩…』
息を切らして ゆっくり新一に近づいた
すると彼も綾に気づいて 近づいて来た
「どもっ」
ひまわりのような笑顔で 綾に微笑みかけてくれた
『どーしたんですか?』
「ん?綾に逢いにきただけだよ」
『ぇ?』
――ドキン…
胸が高鳴ってゆく
どんどん近づいてくるみたいで――
それに なんだか目の周りがじんわりと温まってゆく…
「こないだは理恵に邪魔されたから、今日はゆっくり話したいんだー。今…時間あいてる?」
千紗と帰る約束をしたので 彼女の姿を探した
すると 遠くの方で千紗が手を振っているのがわかった
『へ…へーきです!』
「よかった。じゃあ、行こうか★」
『あの…』
歩き出す新一の動きを止めた
『彼女以外の女性と、逢っていいんですか?』
そう言うと 先輩は「安心して」と…――
「あいつは、そんなことじゃ怒らないよ」
優しい笑顔を零す 新一
こうゆう性格は 全く変わってない
全く汚れていない
『――』
綾の胸は さらに優しい温度に包まれていった…