席替えをして4日経った ある日のこと――




今だ 新しい席に馴染めない 綾…


休み時間になると 必ず千紗のもとへ向かうのが週間になってしまった





『はぁ…、あの席ほんと気まずい…』




「どんまい」


痛くない程度に 綾の肩を叩いてくれる千紗

何よりの救いだ



「まぁ、そんなこと気にしないで帰ろう。途中でなんかおごるからさ♪」



死んだような瞳をしていた綾だったが “おごる”と言う言葉に心を動かされた

『…アイスがいい』


胸を弾ませ注文してみる



すると 千紗はニッコリと笑みをつくり――


「いーよ」





――と言ってくれた



綾も気持ちが一変して 飛び跳ねたい気分になった

鞄を持って帰ろうとしたときだった――








「…綾、見て…」



千紗が目を向けるほうを見てみた






学校の正門のほうだったのはわかったけど 最初はなんのことを指しているのか検討もつかなかった



だが 綾の目も大きく見開いた







正門の少し先で 1人の男性が立っていた

数人の女子が囲んでいる


綾はすぐにわかった





間違えない――

















――新一先輩だ…






綾は 鞄を持ち 教室から急いで飛び出した







“なんで先輩がいるの?”よりも“先輩に逢いたい”と思うほうが強かった


逢いたい あいたい アイタイ














ア  イ  タ  イ









綾は 何度も何度も人と擦れ違い 正門に向かって走って行った