「綾ぁ、お待たせ★」
タイミングよく トイレから千紗が帰ってきた
空気がよめてないような気はしたが かえって綾にとっては嬉しかった
「新一、もうすぐ始まるよ」
新一の彼女は 彼の服の裾をクイッと引っ張っていた
少しだけ ムスッとしているようだった
「――じゃあ、俺達は行くねっ」
新一は 彼女の手を引いて 人ごみの中に姿を消した
「知り合い?」
涙を零しながら何度も頷く 綾
ついに 泣き崩れてしまった
「綾!?」
『――…っ…うっ…ぅ…』
拭っても拭っても溢れ出す雫
今まで我慢してきたものが “涙となって姿を現した”そんな感じだった
千紗は心配して 綾の背中をさすってくれた
そんな彼女に…――
『…ちぃちゃん……っ…、私ね……』
――今まで胸に留めてきたことを すべて吐き出した