白血病の薬は とても強いものなので副作用がすごい


だからと言って “死”を目の前にした綾には 髪の毛が抜けるような薬は必要ない


使ったって 意味ないのだから――




『――…ふぅ…』


まだ呼吸は荒いが だいぶ落ち着いた


だけど かなり体力を使ったので その場に腰をおろした


ぼやける視界の1点を見つめ――




そこには なんとなく新一に似ている人が


“新一先輩…か…”


ちょっとだけ 心が湿った



思い残す事がないと言っても 綾の思いは断ち切れてはいなかった


もう1度 新一に似ている人に目を向ける




『本当に…似てる…』



似ている――いや違う――




あの唇

あの微笑

あの後ろ姿


『ぇ……、新一…先輩…?』




目を疑った


何回も擦って確かめた


すると 彼も綾に気づいた




「――…綾?」











シ  ン  イ  チ  セ  ン  パ  イ