「んなっ...ちょ」



充分に色気を含ませた声でやつは囁いた。



「知ってる?
蝶々って恋しかできないの?」



恋しかできない?

じゃあ私は恋しかできないっていうこと?


いや。今は水城が言った事を深く考えるよりも脳をどうにかしなきゃ...


水城の甘い甘い声のせいで、とろけそう。



「あれ?聞こえてなかったかな」



王子様はニコニコしながらまた耳元に口を持ってきそうだったので

私は急いで答えた。



「いや、ちょっと、
意味わかんないです!」



そういって腕を振り払って屋上から走って逃げた。



「意味わかんない事ばっかいうな!
この脳内お花畑王子野郎っ」



そう。捨て台詞を吐いて。