ー…5年前。


あたしとあなたの出逢いは、偶然だった。







「ねぇ君、名前は?」


「ひ、柊木 華(ひいらぎ はな)、です…」






地元の公立高校に受かったあたし。

同じクラスになった1人の男子に、入学早々、声をかけられた。




「俺、三田 透也(みた とうや)。よろしくな!」




太陽みたいにニカッと笑って、手を差し出してきた。

高校生なのに、その笑顔は小学生みたいに無邪気で。



その手を見て思わず固まっていると、透也はいきなりあたしの手を握ってぶんぶん上下に振った。




その手がとても温かかったのを、あたしは今でもはっきり憶えている。







偶然同じ高校に入学した、あたしと透也。


運命とか、そんな綺麗なのじゃない。

〝偶然〟





透也は、普通の高校生となんら変わらない人で、あたし達人間を照らす太陽みたいだった。