手短にそう答えた。
ホントはそんなんじゃないだろ?
マネジャーが好きなんだろ?
その気持ちが大きくなって
「お前こそ、マネジャーが好きなのかよ」
俺はそう言ってしまった。
咲夜はいったん下を向いた後、決心したかのように俺の顔を見て
「…悪いかよ」
そう小さく呟くように言った。
やっぱりこいつはマネジャーが好きなのか?
「やっぱりお前は…」
マネジャーが好きなのか?
そう言おうとしたら
「なんて言うかと思ったか?」
そう言って笑った。
……はぁ?
「お前何マジな顔になってんの?俺、本気で女を好きになった事なんかねぇよ」
そう言って腹を抱えて笑いだした。
はぁ?
はぁ?
なんだよ、それ。
「…ふざけんじゃねぇよ」
俺は小さく呟いた。
「はぁ?」
咲夜は笑うのをやめて俺の方を見た。
「ふざけんじゃねぇよっ!」
俺は大きな声で叫んだ。
スタジオに俺の声がこだまする。
皆が一斉に俺を見たけど、俺は構わずに咲夜に怒った。
まじ、ふざけんな。
そしたら咲夜は
「そんなマジになんなよ、なあ?」
周りの視線が気になるのか、俺にそう言って肩をポンポン叩いた。
そしたら風雅が来て
「お前らどうしたんだよ?」
心配そうに俺にそう言った。
「なんでもねぇよ」
咲夜がぶっきらぼうに風雅に言い放った。
そんな口調でそんなことを言ったら何かがあったってバレバレだ。
こいつは嘘がほんと下手だな。
「なんでもない」
俺も咲夜と同じふうに答えた。
こいつが黙ってるんだったら俺だって黙っててやるよ。
それなのに、風雅は
「ほんとに何があったんだよ」
キモいほど心配して聞いてくる。
「だから、なんでもねぇって」
俺は思わず風雅に向かってそう言ってしまった。
そしたら風雅は
「お前えぇ!」
そう言って俺の背中に飛んできて、抱きついてきた。
「うわっ!」
俺は風雅が背中に乗ってきたせいで、よろけたがなんとか持ちこたえた。
「ちょっ!」
俺はそう言いながら風雅の顔を見た。
「お前だって知ってんだろ、咲夜に何があったのか」
急に真面目な顔をして、風雅は俺に言った。
もちろん、知っている。
咲夜がなぜこうなってしまったのか、俺はちゃんとこの目で見ていた。
俺は無言で頷くと、風雅は笑顔になり、俺から離れて、咲夜の元へ向かった。
俺は咲夜の後ろ姿を見た。
あいつだって、ホントは信じたかったんだよな。
だけど、だけど、やっぱりマネジャーに中途半端な気持ちで、近づいて欲しくない。
俺だって、マネジャーが好きだ。
だから、だから。
咲夜には譲れない。