アイドルにキュン☆!?

ありがとう。



こうして俺の脱退騒動は





膜を閉じたのだ。





ありがとう。




マネジャー。




お前のおかげで俺は、



お袋と仲直り出来たのだ。






ーside明瑠ー



「マネジャー、本当にありがとう」




あたしの目の前にいる風雅はそう言うと頭を下げた。




「そんな、いいのに」




あたしはそう言って風雅の肩を持ち、頭を上げさせた。




今はコンサートが終わった直後。




彼は汗まみれであたしの元へ掛けてきたのだ。





「いや、本当になんてお礼を言えばいいのか分からないけど感謝している」




そう言って、片付けへと行ってしまった。






あたしが風雅のお母さんにコンサートへ来て欲しいと頼みに行った日。




彼女はあたしにこう言ったのだ。




“彼が輝いているのは本当に嬉しい。

けど、その輝きは一生輝くとは限らないし、

続くとも限らない。

彼には楽をさせてあげたいから跡継ぎになって欲しい。”



そう言っていたのだ。




これはただ、単に風雅が憎くてやったのではなくて、愛情なんじゃないかな?



あたしはそれを聞いて思ってしまった。




だから、風雅のお母さんに渡すとき、




“風雅がどんだけファンの皆様を

愛しているのか、

どんだけこの仕事が好きなのか

わかると思いますよ”



そう言って渡したのだ。




そして、見事コンサートも無事成功する事ができた。




ふう。




あたしがそう言ってため息をついたとき、




「あのー、マネジャー??」



ひょっこりと天空が出てきた。




天空は何だかそわそわしている。




どうしたんたんだろ?




「どうしたの?そんなソワソワして?」




あたしがそう言う天空は何か言おうとしたが、





「いや、やっぱりいい!」





そう言ってどこかへ行ってしまった。





んん??




何だったんだ??




あたしがそんな天空の後ろ姿を見ていると、



ポン




あたしの肩に誰かの手が置かれた。




手を置いた人の方を見てみると、そこにいたのは咲夜だった。




「うわっ!咲夜!」



あたしがそう言うと咲夜はニカッと笑って




「まだ気づいてないのかよ~」





そう言ってあたしの方をニヤニヤしながら見てきた。






気づいてない?



何それ??




あたしの頭の中ははてなマークでいっぱいになった。




言っている意味が分からない。




「どういう意味よ、それ」



あたしがそう言うと咲夜ははぁっとため息をつき、




「本当に気づいてないのか」




そう言った。




「天空もたいへんだなぁーっ」



そう言うと意味深の笑顔をあたしに向けて、どこかへ行ってしまった。




本当になんだろう?




なぜ、あそこで天空が出てきた??




うーん。




あたしは頭をフル回転させて考えたが頭の中ははてなマークでいっぱいだ。





まぢで意味わからんよ?





そう、こうしてコンサートは大成功に終わり、膜を閉じたのだ。






ーside夢斗ー




「あ、はい。分かりました」




俺はそう言って電話を耳に当てて、メモを取っているマネジャーを見ていた。



彼女はそう言うとメモ帳をしまい、電話を切った。




すると、床にあった物に気づかずに





「あいたっ!」




こけそうになる。




ププッ。



俺はそんなマネジャーを心の中とは裏腹に無表情で見つめた。