アイドルにキュン☆!?

「俺、ちょっと李保の所に行ってくる。まだ起きてるかな??」





俺が、そう言うと支保はうとうとした目を擦りながら、




「起きてると思うよ。あたし寝る」





そう言うと、支保は上へと消えて行った。





李保は、俺のことを恨んでいたりするのかな??



あんなに、父の背中を見ていたのに、俺は芸能人になるという夢へ歩いて行った。





俺は、無言で李保の部屋の前に来てしまった。





こんこん。




俺がノックをすると、




「……誰?支保??」





中からそんな声が聞こえてきた。





「俺、風雅」




そう言うと




「おにぃー!?ちょっと待って」




その声と共に、ドアが開いた。





「おにぃー?どうしたの??てか、帰ってきてたんだ?」




李保が不思議そうにドアから顔をのぞかせた。





「うん。只今。李保に話したい事があるんだけど」




俺がそう言うと、




「まぁ、入んなよ」




そう言って中へ入れてくれた。



李保の部屋は相変わらず、本だらけだ。



しかも、綺麗に整頓されている。




「あー、うん」




そう言って、俺はそんな本だらけの部屋へと足を踏み入れた。




「おにぃー、どうしたの?」




李保が不思議そうにそう言った。





「お前、病院継ぎたいんだよな」




俺は率直に李保に伝えた。




「うん。あたしはお父さんの背中を見てきた。あたしはお父さんみたいに人の病気を直していきたいと思う」





やっぱり、李保の思いは強いだよな。




俺も、李保に継いでもらいたいと思っている。






「俺もお前に継いでもらいたいよ」




そう言うと、李保は少し照れていて





「お父さんより最もいい医者になるもんねっ!女だからってなめんなっ!」





そう意気込んで言って。




「李保は女だっけ?」




俺がいつもみたいにそう言うと




「女だし!」




そう言って笑いあった。





そ、その時、




ガチャ




いきなり李保の部屋のドアが開いた。





「うるさいんだけど。静かにしてくれない??」




そして、ドアの向こうから顔をのぞかせたのはお袋だった。





「あー、ごめん。お母さん」




李保がいつもの調子で言った。




李保はお袋がいないときはあの人とかあいつとか言うけど前にいるときはお母さんと言うのだ。





「起こしてごめんな?お袋」




俺がそう言うとお袋は俺の顔をみながら、





「帰って来ていたのね!?跡を継いでくれる気になったの?」





李保には何も言わないで期待している目でそう言った。







「えっ?いや…」



俺がそういうと




「貴方がやめてって言ったのね!?」




俺がそういうとお袋はそう言って李保を怒鳴りつけた。





「あたし、そんなこと言ってないわ!」






そう言ってお袋につっかかった。





でも、お袋も負けてはいなかった。




「そんなこと言っても駄目なんですからねっ!!」




そう言って李保を睨んだ。




「ちょっと、お袋!」




俺がそう言っても駄目だった。




お袋は




「風雅っ!あんたにはちゃんと継いでもらうんですからねっ!」





そう言ってドアを閉めて行ってしまった。




「行っちゃったね」




ポツリと李保が言った。





「だな。ごめんな?俺、何も言えなくて」




本当は俺がおふくろな何か言えばいいのかも知れなかったけど、俺はなんにも言えなかった。






「ううん、おにぃーは何も悪くないよ。あたしが頑張ればいい話だから。さっ!勉強勉強!!」




そう言って机に座ってノートを広げる李保。





ごめんな、俺、何もできなくて。




俺は李保の背中にそう呟くと、部屋から出て、マンションへ戻って行った。





ーside 明瑠ー




プルルルル




プルルルル




テーブルの上に置いてあるあたしの携帯がなった。




あたしは急いで携帯を持ち、通話を押した。





「はい」




あたしがそう言って出ると相手は




『あー!マネジャー!?大変な事になってるんだけど!?』




天空だった。