「夢斗〜!助けろよ!」
風雅が夢斗に抱きついた。
夢斗は凄く嫌な顔をしながら
「まあ、なんとかなるんじゃないのかな?」
そう言った。
本当になんとかなるのかな?(泣)
そう思ったやさき
「そうだよな、あいつらだしな!」
風雅は笑顔であたしーOKポーズをして、ニッコリ笑った。
…本当に大丈夫か?(笑)
ーside天空ー
「皆さん、こんばんは!笹木里菜です!今日のアイドル魂のメンバーは!」
目の前にいる笹木里菜さんが元気な声で原稿用紙を見ながら言っている。
「stillloveの都筑咲夜と!」
笹木里菜さんに続いて隣いる咲夜が言う。
本当とこのメンバーで大丈夫かぁ?
そんなことを思いながら
「同じグループの卯月天空でお送りいたしますっ!」
マイクに向かって言った。
「イエーイ」
俺がそんなことを思っているなんて知らない笹木里菜が元気よく言う。
「えっー、と言う事で始まりました!アイドル魂っ!このメンバーでは初ですよね?」
咲夜がマイクに向かって言う。
本当だよな。
俺はチラッとマネジャーを見た。
隣の部屋で心配そうにこっちを覗いている。
本当に、すごいやつだよ、俺らのマネジャーは。
「本当ですよねッ!天空君とは初対面ですよね?」
里菜さんが元気よく言う。
そうか、仕事では初対面だよなぁ?
あんな事がなかったら、絶対に今日が初対面だった。
「はい。そうですよね」
俺は取り敢えず相槌を打った。
「咲夜君とはドラマ以来ですよね?」
里菜さんが咲夜に向かって言う。
咲夜、えっ?と顔をしてから
「あー、はい。そうですよね。あの時はいろいろと楽しませて頂きましたよ」
そう言って笑う。
あー、このメンバーで大丈夫かぁ?
今更になって不安になってしまった。
「では、一曲目に参りましょう。先月発売した笹木里菜のファーストシングルで“その手を探して”どうぞっ!」
笹木里菜がそう言うと曲が流れ始めた。
そして、マイクの電源を切った。
「久しぶりね、咲夜」
里菜さんがニッコリと咲夜に笑う。
「あぁ、別れてから会ってなかったからな」
いつも五月蝿い咲夜が静かな声でそう言った。
「そうね、天空君も。色々迷惑掛けてすみませんね」
そう言う。
はあ?
すみませんね?
「…よくそんなこと言えるね」
俺はボソッと言った。
そしたら、咲夜が席を立った。
「トイレ、曲が終わるまでには戻るから」
そう言って出て行ってしまった。
「咲夜、あれから元気にしてた?」
俺に向かってそう言う里菜さん。
「えぇ。元気でしたよ」
俺は表情を変えずに言う。
そしたら、
「なんだ、そう」
落ち込んでいるように見える里菜さん。
あんだけ咲夜に酷いことしてて、よくそんなことが言えたよな。
「つか、お前には関係ないね」
俺は奴に言ってやった。
その時、
ガタンっ
ドアが閉まる音が聞こえた。
俺はふと聞こえた方を見た。
……。
どうやら出て行ったのはマネジャーらしい。
何する気なんだ?
俺はマネジャーが気になって部屋から出て、追いかけて行った。
そして俺も咲夜の事が気になったから追いかけたんだ。
そしてマネジャーと咲夜の話を盗み聞きしていた訳。
俺さ、そん時またマネジャーを惚れ直したよ。
まぁ、これは俺の口からは言えないけどね。