ゆっくりとサヨさんの顔が上がった。


あたしはこくんと頷いて、サヨさんの手を握ってみた。


すごく‥‥冷たかった


その冷たさにびっくりして反射的に、手を離そうとしたけどあたしはそうしなかった。


ぎゅ‥‥


「え‥‥‥」


ちょっと遠慮気味に、握っていた


「そんな深くはいいです、大まかでも。少しでも打ち解けてもらえたらなぁって‥‥だから‥‥」


聞きたい、そう告げようとしたときあたしをシャンプーのようなふわっとした香りが包んだ。


顔にかかるふわふわな髪がくすぐったい。


「話すから聞いてて欲しいのです‥‥‥離れないで欲しいのです」


震えるのはサヨさん声と、あたしを抱きしめる腕。