頭より先に体が動いた。
玄関のドアをぶち破る勢いで開けて、裸足のまま飛び出す。
エレベーターは一階で停まったままだ。
階段を二段飛びでかけ降りて、エントランスに転がり込んでみたが、そこに人影は見当たらなかった。
外に出て菜月の名前を叫んでも、「菜月」と言う俺の声が、ただ夜の闇に吸い込まれるだけ。
肩を落としてエントランスに戻って、見つけた。
ゴミ箱の中に、30センチぐらいの正方形の真新しい白い箱を。
慌ててそれに近寄ると、その箱の上に投げ捨ててあるブランドショップの紙袋にも気がついた。
俺がよく使うブランドの。
紙袋を開けると、中から出てきた深紅の小箱。
入っていたのは、ネックレス。
トップに文字が刻んである。
『Please believe me. I trust you.…for Ren』
………バカじゃん、俺。
菜月はこんなに自分を信じて欲しかったのに。
何やってんだよ、自分。
それなのに、さっきのアレ、見せちまった。
他のオンナを抱いてる俺を。
もう無意識で、俺は白い箱の方も開けてみた。
ぐちゃぐちゃに潰れたケーキ。
……そっか、日付が変わったから、今日が俺の誕生日だったんだっけ。
菜月はこの日を覚えていてくれて、しかもケーキまで作って、こんなメッセージまで入れて俺に信じて欲しかったんだ。
そして、俺を信じてたんだ。
―――それを、俺は、裏切ったのか……。
部屋に戻り、感覚がなくなった手で携帯を取ると、かけなれた番号へ電話をかけた。
この1ヶ月、かけたくてもかける事が出来なかった菜月の携帯へ。
無機質なアナウンスが耳元で無情に告げた。
着信拒否、か。
………当然だよな……。
玄関のドアをぶち破る勢いで開けて、裸足のまま飛び出す。
エレベーターは一階で停まったままだ。
階段を二段飛びでかけ降りて、エントランスに転がり込んでみたが、そこに人影は見当たらなかった。
外に出て菜月の名前を叫んでも、「菜月」と言う俺の声が、ただ夜の闇に吸い込まれるだけ。
肩を落としてエントランスに戻って、見つけた。
ゴミ箱の中に、30センチぐらいの正方形の真新しい白い箱を。
慌ててそれに近寄ると、その箱の上に投げ捨ててあるブランドショップの紙袋にも気がついた。
俺がよく使うブランドの。
紙袋を開けると、中から出てきた深紅の小箱。
入っていたのは、ネックレス。
トップに文字が刻んである。
『Please believe me. I trust you.…for Ren』
………バカじゃん、俺。
菜月はこんなに自分を信じて欲しかったのに。
何やってんだよ、自分。
それなのに、さっきのアレ、見せちまった。
他のオンナを抱いてる俺を。
もう無意識で、俺は白い箱の方も開けてみた。
ぐちゃぐちゃに潰れたケーキ。
……そっか、日付が変わったから、今日が俺の誕生日だったんだっけ。
菜月はこの日を覚えていてくれて、しかもケーキまで作って、こんなメッセージまで入れて俺に信じて欲しかったんだ。
そして、俺を信じてたんだ。
―――それを、俺は、裏切ったのか……。
部屋に戻り、感覚がなくなった手で携帯を取ると、かけなれた番号へ電話をかけた。
この1ヶ月、かけたくてもかける事が出来なかった菜月の携帯へ。
無機質なアナウンスが耳元で無情に告げた。
着信拒否、か。
………当然だよな……。