それからは菜月はまた毎日、俺の店の〔パスクィーノ〕に来るようになった。


わざわざ一旦家まで戻って、それから晩飯を作って差し入れしてくれてる。


あれ以来、菜月は俺のマンションには来ていない。そりゃ、壁越しにとは言えDV紛いの音と声を聞いたんだから、トラウマにもなるだろ。


だけど、そろそろ俺は限界かも。何せあれから2週間も、それも休日にすら菜月と俺は[まったり仲良く]できていないから。


明日は偶然俺達二人の休みが重なってる。

紅葉狩りはどこに行くかをそろそろ決めたいから、菜月には俺の部屋に泊まるように言っておいた。

最初は渋面を作った菜月だったが、「俺もいるから大丈夫」だと言って聞かせると、安心したように頷いた。


マジで頼むから今夜ぐらいは大人しくしてろよ、隣の奴ら。




久し振りに菜月の家に迎えに行き、帰りはファミレスで晩飯を食って、それからマンションに向かった。



そう言えば、菜月と出逢ったのはまだ深緑も深い春だったんだよな。それが今はもう秋か。


菜月といると、時間の巡りが速く感じる。それだけ時間が経つのを意識しないで、一緒にいられるからなんだろう。



マンションに戻り玄関に入ると、靴を脱ぐのももどかしくなって、俺は菜月の体を壁に押し付けて荒々しく唇を奪った。


もう待てねぇよ。


塞いだ菜月の口からも悩ましい声が漏れだす。その声に煽られるように、菜月のスカートの中に手を潜らせ柔らかい肌を揉みし抱いた。


「玄関じゃ、やだよ……」

激しいキスの合間に菜月が喘ぎながら懇願した。


泣きそうな瞳に欲情に頬を染めたその顔が扇情的で、もうどうにも止めたくない。というより、寝室までは俺の理性が持たねぇ。


「それなら一緒に風呂入ろ?」

「えっ!やっ……」


菜月の返事を聞かずにその体を持ち上げた。


そう言えば一緒に風呂には入ったことなかったっけ。


恥ずかしがって嫌がる菜月の服を一枚一枚脱がせていく。抵抗されたから時間はかかったものの、最後には菜月も観念して真っ白な肌を俺の前に曝している。


自分も手早く衣服を脱ぎ捨て、二人で風呂場にもつれ込んだ。


久々に感じる菜月の肌。


それを隅々まで味わった後、待ちきれない思いと共に、その白いカラダを貫いた―――。