目を瞑ったまま、蓮が口角を上げてニヤリと笑う。なんだか良からぬ事を聞かされそうな気配だ。


「二人で皿を洗ってたら、お前がいきなり服を脱ぎ出して、下着姿で俺に抱き付いてきたんだけど」


ほら、やっぱり。

どうだ?みたいな顔で私の反応を楽しんで見てる。


………じゃなくて!!


私そんなに前後不覚になるまで酔っ払ってたの!?服を自分から脱ぎ出したって、そんなの痴女じゃん!!イタイ女じゃん!!


うわあ、軽い女だとか蓮に思われてたらどうしよう!?お酒の勢いだからだったなんて言い訳にもなんないよ。


恥ずかしいやら恐いやらでベッドに突っ伏して赤面する顔を隠した。

まともに蓮の顔を見れなくて、やりきれない。


「なーつき。お前はこんな形でヤるのが嫌だった?」


そんな訳、ない。


付き合い初めてまだ日は浅いけど、いつかはそうなれば良いなぁ…って考えてたし。


蓮に顔を見せずに突っ伏したまま、私は頭をふるふると振った。


「菜月は酔ってたけどさ、『デートするから可愛い下着を選んできた』って言ったんだよ。だから、もしかしたら、菜月も同じ気持ちだったのかなーと……。つい手を出しちまった」

「……そこまで喋ってた……?」


確かにデートだから《そういうコト》もするかも…とは意識して下着も選んできたけど!


「もう過ぎた事だし良いだろ?……このまま寝ようぜ」

「……うん……」


優しくあやすように、蓮が私の背中をぽんぽんと軽く叩いた。


それだけで安心してしまう。




温かい腕の中、ゆっくりと瞼を閉じた―――。







……翌朝は早く、6時には蓮に家まで送ってもらった。


「仕事が終わったら今日も店に来いな」

キスをして唇を離した蓮が、別れ際に言う。


「うん。蓮も仕事、頑張ってね」

そう言い残し、名残惜しげに去っていく車を見送った。