横を見れば、海野さんの回りには先輩達だけではなく他の女の人まで集まって、その華麗なパフォーマンスをガン見している。
もういいや。
お酒の席で色目を使う人は好きじゃないからこんなの見たくもないし。
「お前つまらなさそうだな」
そんな私の様子に目敏く気がついたのか、ヨッシーが空になった私のグラスを取り上げた。
替わりに差し出された淡いグリーンのカクテル。
澄んだ良質のお茶の中には桜の花が沈んでいて、まるで水中花みたいだ。
「なにこれ。奢ってくれるの?」
「ナツの就職祝いにな。《春暁》って名前の酒だ」
ぶっきらぼうな言い方だけど、ヨッシーの照れ隠しなのは浅くない付き合いで分かってる。
「へへっ。ありがと」と、さらりとお礼を述べてから、私はそのカクテルを一口飲んだ。
グリーンティリキュールのほのかな苦味の中に、桜の香りが混じりあって春の温かさを感じられる。
これ美味しいかも。
調子づいた私はそのまま一気にお酒を煽り、ヨッシーに向かってまたグラスを差し出した。
「ヨッシーこれもう一杯!」
困ったように笑ってグラスを私から受け取ろうとしたヨッシーの腕を、誰かが掴んで引き留めた。
「人の店に来て客引きしてんじゃねぇ、中井さんよぉ?」
みると海野さんが低い声でヨッシーに向かって威嚇している。
「ヨッシーはぁ、私の相手をしてくれてんの!海野さんはモテモテなんだからあっち行って?ウザいよ?」
空きっ腹にお酒を飲んだからか、いい加減酔っていた私はそう言って海野さんに悪態をついた。
だって、海野さんを取り巻いてるあの雰囲気が好きじゃないんだもん。
私はヨッシーと楽しくお話したいだけなんだもん。
呼ばれてないのにこっちに来ないでよ。
鼻の下でも伸ばしてケバいオネエちゃんと仲良くしてるがいいさ!
「……せっかく菜月のためにフレアやるってのに、見てくんねーの?」
悲しそうな目で海野さんが私に訴えてきた。
けどさ。
「だって他の人に邪魔にされて席追い払われたんだもん。見たくても見れない。そんなら私ここでヨッシーとお喋りしてるから、ほっといていいよ」
可愛げなかったかな?
でも海野さんとはもう会う機会も無いだろうし、別に愛想なんか振り撒かなくたって問題ないでしょ。
もういいや。
お酒の席で色目を使う人は好きじゃないからこんなの見たくもないし。
「お前つまらなさそうだな」
そんな私の様子に目敏く気がついたのか、ヨッシーが空になった私のグラスを取り上げた。
替わりに差し出された淡いグリーンのカクテル。
澄んだ良質のお茶の中には桜の花が沈んでいて、まるで水中花みたいだ。
「なにこれ。奢ってくれるの?」
「ナツの就職祝いにな。《春暁》って名前の酒だ」
ぶっきらぼうな言い方だけど、ヨッシーの照れ隠しなのは浅くない付き合いで分かってる。
「へへっ。ありがと」と、さらりとお礼を述べてから、私はそのカクテルを一口飲んだ。
グリーンティリキュールのほのかな苦味の中に、桜の香りが混じりあって春の温かさを感じられる。
これ美味しいかも。
調子づいた私はそのまま一気にお酒を煽り、ヨッシーに向かってまたグラスを差し出した。
「ヨッシーこれもう一杯!」
困ったように笑ってグラスを私から受け取ろうとしたヨッシーの腕を、誰かが掴んで引き留めた。
「人の店に来て客引きしてんじゃねぇ、中井さんよぉ?」
みると海野さんが低い声でヨッシーに向かって威嚇している。
「ヨッシーはぁ、私の相手をしてくれてんの!海野さんはモテモテなんだからあっち行って?ウザいよ?」
空きっ腹にお酒を飲んだからか、いい加減酔っていた私はそう言って海野さんに悪態をついた。
だって、海野さんを取り巻いてるあの雰囲気が好きじゃないんだもん。
私はヨッシーと楽しくお話したいだけなんだもん。
呼ばれてないのにこっちに来ないでよ。
鼻の下でも伸ばしてケバいオネエちゃんと仲良くしてるがいいさ!
「……せっかく菜月のためにフレアやるってのに、見てくんねーの?」
悲しそうな目で海野さんが私に訴えてきた。
けどさ。
「だって他の人に邪魔にされて席追い払われたんだもん。見たくても見れない。そんなら私ここでヨッシーとお喋りしてるから、ほっといていいよ」
可愛げなかったかな?
でも海野さんとはもう会う機会も無いだろうし、別に愛想なんか振り撒かなくたって問題ないでしょ。