表情を伺おうにも、やっぱり顔は下を向いたままだ。 「子供?」 「うん。見て、ほしかったの」 「何を?」 「髪、留め」 「・・・琴海?」 ついに立ち止まってしまった琴海。 俺の半歩後ろに立っている。 「この前1組の友達と遊びに行ったとき、買ったの」 あと少しで全部沈んでしまいそうな太陽が、後ろから琴海を照らしていた。