あったような気もする。 でも、思い出せそうで思い出せない。 もしここで、思い出すことができたなら、琴海にすぐに教えてやれるのに。 今も俯いている琴海を見ると、俺の胸はキュッと苦しくなる。 どうすればいいんだ・・・。 「じゃぁ、また明日な」 「あ、あぁ。またな」 恍は、俺と琴海と帰る道が途中で変わる。 フラーッと歩いていたせいで、ここまで来ていたことに気づけなかった。