周りを見渡してみても琴海の姿はない。



なのに、琴海の声が俺の頭の中に響いてくる。










―――――私は・・・悲しいな。




「な、なんでだよ。・・・なぁ、どこにいるんだよ、琴海!」


俺はその場を立ち、家の中を捜しまわった。



全部の部屋を見て回っても、当たり前に琴海の姿があるわけはない。




あの日だってそうだったんだから。



そして気づいたときには琴海の声もしなくなっていた。