走馬灯の如く記憶がごちゃごちゃになっていく。
いや、元々ごちゃごちゃしていたものが今、元に戻ろうとしているのかもしれない。
俺には、この後のことがわかるんだ。
むしろ、今この扉の向こうで何が起きているのかも分かっている。
全部わかってる。
分かってるからこそ・・・視界が歪んでいくんだ。
「・・・パパ?」
「くっ・・・そっ・・!」
「近藤さん?」
頭を抱えて泣く俺に看護師がそっと寄り添ってきて、背中をさすってくれる。
「今奥さんが頑張ってるんですから」
その言葉は一体何を根拠に発せられるんだろうか。