「子供がね、落ちたんだよ。多分アヒルを見ようとしてね」
「・・・・・・」
「子供を助けようと母親が池に飛び込んだけど、母親は泳ぐのが下手だったのかもね」
「・・・・・・」
「子供は何とかこちらに上げれたけど、母親は・・・ゆっくり沈み始めてね」
それはおばあさんだった。
しっかり見てたんだな。
全部ちゃんと話してくれる。
でも、俺の耳には・・・単語単語でしか飛び込んではこなかった。
そして・・・。
「・・・あぁ、そうだ。母親がね飛び込む前に子供の名前を呼んで、本当に必死に」
「なんて言ってました!?」
おばあさんは一瞬驚きながらも、落ち着いてその名を口にした。